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絵を描こう ~森のお祭り~

 「絵を描こう~森のお祭り~」ワークショップ。2021年3月3日・10日の2日間にわたり、静岡県立こども病院にて開催しました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、従来の対面でのワークショップ開催が困難となった2020年度。静岡県立こども病院の皆さまのご協力のもと、病院にいるこどもたちと大学にいるHAPSのメンバーとが、Zoomを介して画面越しに繋がりました。プロのアーティストとして、2人組音楽ユニット「オコトロン」の吉田朝麻さま、すずしさまをお迎えしました。

 

 ワークショップ当日、はじめに画面の奥のこどもたちへ、学生がリアルタイムで演劇を披露。その流れに沿って、こどもたちと学生は会話のコミュニケーションを図りながら、和紙の葉っぱをクレヨンやテープなどで彩る作品制作の時間を共にしました。 後日、ワークショップにて完成したこどもたちの作品「音の葉っぱ」から着想を得る形で、オコトロンのお二方により新たな楽曲が誕生。その楽曲CDと、こどもたちの作品を演劇のストーリーと一緒に振り返ることのできる絵本(作品集)を、こどもたちのもとへお届けしました。

 新型コロナウイルス感染症により先の見通しの立たないなか、ワークショップ開催を断念することも一つの選択肢でした。しかしながら、こどもたちの交流の機会が減少している状況を同病院からお伺いし、HAPSメンバーで話し合いを重ね、2020年度も、今できる形でのワークショップを実現したいという意思が固まりました。

 例年とは異なり、直接会うことのできないこどもたちに、少しでも興味を持って制作を楽しんでもらうには。全く初めての試みに、模索の日々は続きました。ワークショップ冒頭でのHAPSメンバーによる演劇は、そのような意図のもとで繰り広げられることとなったものです。はじめは、全く予想もしていなかった演劇の制作。ストーリー、セット、衣装、撮影、全ては0からの始まりでした。自身が演者になることに至っては、それこそ小学生の頃以来…。戸惑いはさることながら、様々な壁に直面しました。それでも、常に考えるのは、参加いただくこどもたちのこと。セリフへの恥じらいを捨て、少しの手間も惜しまず、みんなが同じ目的へ向かい力を一つに、幾度となく確認や話し合い、改善を繰り返しました。

 

 当日、こどもたちの、食い入るようにHAPSメンバーの映る画面をみつめる様子、こちらの呼びかけに手を振る様子、そして、とびきりの笑顔。遠隔で試みたコミュニケーションでは、画面越しに返ってくる一つひとつの反応に、この上ない嬉しさを感じました。また、今回のワークショップにおいても、こどもたちそれぞれの豊かな発想力や個性のにじみ出る作品が出来上がりました。おかげで賑やかな森のお祭りが開けること、間違いなしです♪

 

 ちなみに、こどもたちが飾り付けを行った葉っぱ型の和紙。HAPSメンバーが浜松市天竜区にて「阿多古和紙」の継承活動をされている田中康彦さまに教えていただきながらすいた、手製のものです。真冬の2月、寒空のもと、原料を叩く、混ぜる、すく、乾かす…みんなで作業を分担、交代しながら、一枚ずつ作りました。普段手にする、真っ白で殆ど凹凸のない紙とは全く風合いの異なる和紙。少しでも、病院で過ごす日常から得られない体験を。その思いは和紙にも込められています。

 

 最後に、1から和紙づくりをお教えいただきました、田中康彦さま。企画構想の段階からご協力をいただき、ワークショップのなかで用いた音楽やその後でこどもたちへお送りした音楽もご制作いただきました、オコトロンの吉田さま、すずしさま。開催方法が初めて遠隔となった今回、新しい形の未知なるワークショップを模索し、実際に形にしていく過程をはじめ、多くの時間を共にできましたこと、また、新たなワークショップへの道のりを完走できましたこと、ここに、深く感謝申し上げます。

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